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AWS Interconnectでマルチクラウド接続が変わる

interconnect クラウドニュース

2026年4月、AWSから新しいネットワークサービスの一般提供(GA)が発表されました。

その名も AWS Interconnect – multicloud

Interconnectって何?Direct Connectと何が違うの?

わたしと同様に、こう疑問を感じた方もいらっしゃると思います。

この記事では、初めて聞いた方でもわかるように、概念から実際のユースケースまで解説したいと思います。

そもそも「Interconnect」とは何か

Interconnect(インターコネクト)は、直訳すると「相互接続」。
ネットワークの文脈では、異なるネットワーク同士をつなぐことを指します。

AWSにはすでにオンプレミスとAWSをつなぐ Direct Connect がありますよね。
Direct Connectは「自社のデータセンター ↔ AWS」の専用線接続でした。
実際に使われている方も多くいらっしゃると思います。

今回の AWS Interconnect – multicloud は、それをさらに一歩進めたものです。
まとめると、

このように、インターネットを経由せず、専用の回線でクラウド同士を接続するサービスです。

AWS Interconnect – multicloud が一般提供(GA)開始

2026年4月、AWS Interconnect – multicloud が正式に一般提供(GA)となりました。

AWSが「マルチクラウド接続のために初めて設計した専用サービス」と位置づけており、これまでになかった新しいカテゴリのサービスです。

GA時点での主な特徴

  • 3ステップで接続可能:接続先クラウド指定 → リージョン選択 → 帯域幅選択、それだけ
  • MACsec暗号化(IEEE 802.1AE)で通信を保護
  • 耐障害性が組み込み済み:接続は最低2つの物理施設に分散、1拠点障害でも通信継続
  • AWSコンソール・CLI・APIで管理:いつものAWS操作感でそのまま使える
  • Transit Gateway / Cloud WANと組み合わせ可能:複数VPC・マルチリージョンへの展開が数週間→数日に短縮

Direct Connectとの違いをまとめてみました

「Direct Connectと何が違うの?」を表でまとめてみました。

サービス接続先用途
Direct Connect自社データセンター ↔ AWSオンプレミスとAWSの専用線接続
Transit GatewayAWS内のVPC同士・リージョン間AWS内のネットワークを束ねるハブ
Interconnect – multicloudAWS ↔ 他クラウド(GCP・Azureなど)クラウド間をプライベートに接続

つまり、これまでAWSには外のクラウドと直接つなぐ専用サービスが存在しませんでした。
Interconnectはその空白を埋める、まったく新しいサービスになっています。

対応クラウドプロバイダーとリージョン

GA時点で接続できるのは Google Cloud のみです。
ただし、今後の対応拡大も発表されています。

クラウド対応状況
Google Cloud✅ GA時点から利用可能
Microsoft Azure🔜 2026年後半サポート予定
Oracle Cloud (OCI)🔜 2026年後半サポート予定

マルチクラウドを利用されている環境あ多くあると思います。
今後の展開が待ち遠しいですね。

なお、GA時点で使えるリージョンペア(AWS ↔ Google Cloud)は以下の5つです。

  • US East(バージニア北部)↔ Google Cloud バージニア北部
  • US West(北カリフォルニア)↔ Google Cloud ロサンゼルス
  • US West(オレゴン)↔ Google Cloud オレゴン
  • Europe(ロンドン)↔ Google Cloud ロンドン
  • Europe(フランクフルト)↔ Google Cloud フランクフルト

東京リージョンの対応はまだ発表されていませんが、Azure・OCI対応が進むタイミングでのリージョン拡張も期待したいところです。

「マルチクラウド」って何?なぜ必要なの?

そもそも「なぜ複数のクラウドを使うの?」という疑問もあると思います。

複数のクラウド(マルチクラウド)を使うのは、たとえばこんなケースが考えられます。

  • 基幹システムはAWSで動かしつつ、機械学習モデルのトレーニングはGoogle Cloud(AI/ML分野での強みがある)で行う
  • Microsoft 365(Azure AD)との連携が必要なシステムはAzureと組み合わせる
  • 特定の国・地域の規制対応のために、データを別クラウドのリージョンに置く
  • 特定ベンダーへの依存リスク(ベンダーロックイン)を減らす

しかし、これまでのマルチクラウドは、クラウド同士の接続にインターネット経由のVPNを使うことが多く、

  • 遅延
  • セキュリティリスク
  • 安定性

が課題でした。

Interconnectはその課題を、専用のプライベート回線で解決してくれます。

主なユースケース

① AWSのアプリ + Google CloudのAI/MLを組み合わせる

AWSで動くWebアプリのデータを、Google CloudのVertex AI(機械学習基盤)に送って分析・予測し、結果をAWSに返す。

Interconnectがあれば、この一連のデータのやり取りを低遅延・安全に実現できます。

② クラウド間のリアルタイムレプリケーション(災害対策)

AWSとGoogle Cloudをインターコネクトで接続し、重要データをリアルタイムでもう片方に複製しておく。

片方のクラウドで障害が起きても、もう片方でサービスを継続できます。
いわゆる「DR」ですね。

③ クラウド移行の段階的な実施

「今はAWSで動いているが、一部のワークロードをGoogle Cloudに移したい」というケース。

移行期間中はInterconnectで両クラウドをつなぎながら、段階的に移行を進められます。

④ Transit Gatewayと組み合わせて複数VPCをまとめて接続

Interconnect単体ではVPC同士の1対1接続ですが、Transit GatewayやCloud WANと組み合わせると、AWS側の複数VPC・複数リージョンをまとめてGoogle Cloudに接続できます。

設定にかかる時間が「数週間〜数ヶ月」から数日に短縮されるのは、実務での大きなメリットではないでしょうか。

料金のポイント:2026年5月から無料枠あり

料金は、選択した帯域幅リージョンに基づくシンプルな体系です。

しかも、

というニュースが発表されています。

  • 本番利用の前に試してみたい
  • PoC(概念実証)から始めたい

そんな場合も、無料枠の範囲で検証を始められますね。
まずは試してみやすい環境が整ったのは、導入検証へのハードルを下げてくれますね。

セキュリティの仕組み

もちろんセキュリティも忘れてはなりません。
Interconnectは以下の方法でセキュリティを担保しています。

  • MACsec暗号化(IEEE 802.1AE):物理リンクレベルでの暗号化。インターネット経由のVPNとは違い、接続施設内の物理リンクそのものを暗号化
  • プライベート接続:通信はインターネットを通らない。外部からの傍受リスクを大幅に低減
  • 物理的な冗長性:接続は最低2つの物理施設に分散。1拠点の物理障害でも自動フェイルオーバーで接続を継続

マルチクラウドの壁を越えて、次のステージへ

最後に、AWS Interconnect – multicloudのポイントをまとめます。

  • AWSが初めて作った「クラウド間専用接続」サービス
  • Direct Connectは「オンプレ ↔ AWS」、Interconnectは「AWS ↔ 他クラウド」と役割が違う
  • GA時点ではGoogle Cloudのみ対応、2026年後半にAzure・OCI対応予定
  • MACsec暗号化+組み込み冗長性でセキュリティと可用性を確保
  • 2026年5月から500 Mbpsの無料枠がスタート

マルチクラウド戦略はこれまで「つなぐのが大変」というハードルがありましたが、Interconnectによってその障壁がぐっと下がりました。

「AWSを使いながら、AI/MLはGoogle Cloudで」といったアーキテクチャが、現実的な選択肢になってきています。

Azure対応が始まる2026年後半には、さらに活用の幅が広がりそうです。
今のうちに概念を押さえておくと、一歩先に進めそうです。


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