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Amazon Quick入門 BIツールの基礎 ざっくり解説

AWS Quick クラウドニュース

BIツールを使ってダッシュボードを作ってほしい

Quickでレポートを見られるようにして

このような依頼を受けても、ビジネスに疎いエンジニアは「何をどうやって?」、と正直ピンとこないことがありませんか?

BIツール ( Business Intelligence Tool )はビジネス寄りの文脈で語られることが多く、エンジニアには馴染みにくい世界だと感じています。
見た目は美しい。グラフもなんか見やすいっぽい。ただ、何を表現していいのかわからない。

でも仕組みを理解してしまえば、データの流れはむしろエンジニアに馴染みやすい構造をしていました。

この記事では、ビジネスに詳しくないエンジニアでも理解できるように、BIツールの役割とAmazon Quickの基本を解説したいと思います。

BIツールに苦手意識のある方の参考になれば嬉しいです。

名前が変わった経緯 QuickSightからAmazon Quickへ

QuickSight・・・じゃなかった Quickね

最近よく聞かれるやりとりです。

QuickSight」「Quick Suite」「Amazon Quick」、どれも同じサービスを指していますが、2025年10月に大きなリブランドがありました。

  • 〜2025年9月:Amazon QuickSight(BIダッシュボード専門サービス)
  • 2025年10月〜:Amazon Quick Suite へ名称変更。BI機能に加えAI機能を複数追加。
  • 現在:さらに短縮されて Amazon Quick が正式名称。

現在のAmazon Quickは単純なBIダッシュボードツールを超えて、以下のコンポーネントで構成されるプラットフォームになっています。

コンポーネント役割
Quick Sight旧QuickSightのBI・ダッシュボード機能
Quick Research社内データと公開情報から引用付きのインサイトをAIが生成
Quick Flows自然言語でワークフローを作成・自動化
Quick Automate複雑な多段階ビジネスプロセスの自動処理
Quick Index社内ドキュメント・データの共有知識ベース

現場では「QuickSight」と呼ばれることもまだ多いですが、新規プロジェクトでは「Amazon Quick」か「Quick Sight」が正しい呼び方です。

なお、既存のダッシュボード・データセット・API・接続設定はリブランドで変更されていません。

そもそもBIツールは何のためにあるのか エンジニア向けに説明する

BI(Business Intelligence)ツールとは、データベースや各種サービスに蓄積されたデータを取り込み、グラフやダッシュボードで見やすく表示するツールです。

「それGoogleスプレッドシートやエクセルでもできるのでは?」と思うかもしれません。
確かに小規模なデータなら表計算ツールでも十分対応できます。

BIツールが必要になるのは、次のような状況です。

  • データが大きすぎる
    数百万〜数億行のデータをスプレッドシートで開こうとすると、大体は開けずに固まりますよね。

    BIツールはDBやデータウェアハウスに直接クエリを投げて結果だけを返すため、大量データでも動かすことができます。
  • 複数のデータソースをつなげたい
    売上DB・広告費用のCSV・CRMのデータを横断して分析したい場合、BIツールがそれぞれに接続してひとつのダッシュボードに統合できます。
  • 非エンジニアが自分で分析したい
    営業部長や経営者がSQLを書けるわけではありません。

    BIツールはデータを視覚化し、非エンジニアが自分でフィルタをかけたり条件を変えたりして確認できる画面を提供します。
  • 常に最新データを見たい
    スプレッドシートの手動更新と違い、BIツールはデータソースと常時連携して最新状態を反映できます。

エンジニア的にそれっぽく言い換えると、BIツールはまさにデータのリードオンリーなフロントエンドです。

バックエンド(DB・データウェアハウス)は変えず、非エンジニアでも扱える可視化UIを提供するレイヤーと考えると、役割がイメージしやすくなりませんか?

Amazon Quick(Quick Sight)の主要な構成要素 データの流れで理解する

Quick Sightを使う流れはこのようになっています。

データソース → データセット → 分析 → ダッシュボード

データソース(Data Source)

データの取得元です。

S3やAthena、RDSなどへの接続設定を登録します。
エンジニアが設定を担当することが多い部分としては、接続情報(エンドポイント・認証情報)とIAMの権限設定でしょうか。

対応しているデータソースは

  • S3
  • Athena
  • Redshift
  • RDS
  • Aurora
  • DynamoDB
  • 外部DB(MySQL・PostgreSQLなど)
  • CSVファイル

など多数あります。

データセット(Dataset)

データソースから取り込んだデータに対して、

  • 列の型変換
  • 結合
  • フィルタ
  • 計算フィールドの追加

などの前処理を定義したものです。

ここでの設定がダッシュボードの使いやすさに直結するため、データエンジニアとBIの担当者が一緒に設計することが多い部分かもしれません。

データセットには2種類のモードがあります。

  • Direct Query(直接クエリ)
    ダッシュボードが開かれるたびにデータソースに対してリアルタイムでクエリを実行します。
    常に最新データが見られますが、クエリのたびに処理が走るためDBに負荷がかかります。
  • SPICE(後述)
    Amazon Quick内にデータをインポートして高速に表示します。

分析(Analysis)とダッシュボード(Dashboard)

分析はデータセットをもとにグラフや表を作成する作業スペースです。

  • 棒グラフ
  • 折れ線グラフ
  • 散布図
  • ヒートマップ
  • ピボットテーブル

など多様なビジュアルタイプが用意されています。

完成したものを「ダッシュボード」として読み取り専用で公開し、社内に共有したりアプリに埋め込んだりすることができます。

SPICEとは何か Amazon Quickの速さを支えるインメモリエンジン

SPICEは「Super-fast, Parallel, In-memory Calculation Engine」の略で、Amazon Quickが独自に持つインメモリのデータストレージ兼クエリエンジンです。

データをSPICEにインポートしておくと、ダッシュボードを開いたときに毎回DBにクエリを投げる必要がありません。
Amazon Quick内のメモリ上のデータを直接参照するため非常に高速です。

大量のユーザーが同時にダッシュボードを開いても、元のDBに負荷が集中しません。

ただ、もちろんデメリットはあり、データの鮮度です。

SPICEは手動またはスケジュールで更新するため、リアルタイムの最新データを常に見たい場合はDirect Queryモードの方が適しています。

「毎日朝9時に前日分のデータをSPICEに取り込んでおく」といった使い方が一般的です。

Amazon Quickの料金体系 エンジニアが押さえておきたいポイント

Amazon Quickの料金はユーザー単位の月額課金が基本です。
ユーザータイプは2種類あります。

ユーザータイプできること料金(目安)
Author(作成者)データセット・分析・ダッシュボードの作成・編集月額$18〜/人
Reader(閲覧者)共有されたダッシュボードの閲覧のみ月額$5〜/人 またはセッション課金

社内に「ダッシュボードを作る人(エンジニア・アナリスト)」と「見るだけの人(営業・経営層)」がいる場合、

  • 作る人をAuthor
  • 見るだけの人をReader

にすることでコストを抑えられます。

Readerにはセッション課金モード(1セッション$0.30、上限$5/人/月)もあり、アクセス頻度が低いユーザーが多い場合はこちらが安くなります。

何も考えずにちょっと試そっかなーと有効にして、月額料金だったことに気づいて泣きました。

エンジニアがAmazon Quick案件で関わる場面 接続・権限・埋め込みの3点

データソース接続とVPC設定

S3やRedshift、RDSなどへの接続設定はエンジニアが担当することがほとんどですよね。

特にVPC内にあるRDSやRedshiftをAmazon Quickから参照する場合、VPC接続の設定が必要です。
Amazon QuickをVPCに接続するためのENI(Elastic Network Interface)を設定です。

IAMの権限設定も重要で、Amazon QuickがS3バケットやAthenaのデータカタログを参照するための権限を正しく付与しないと接続エラーになります。

行レベルセキュリティ(RLS)の設定

「営業Aさんには自分の担当顧客のデータだけ見せる」という制御を行レベルセキュリティ(RLS)と呼びます。

「どのユーザーにどの行を見せるか」を定義したデータセットを用意して設定します。
実装はエンジニアが担当することがほとんどでしょう。

アプリへの埋め込み(Embedded Analytics)

Amazon Quickのダッシュボードを自社のWebアプリに埋め込む機能があります。
iframeで埋め込む方法とEmbedding SDKを使う方法があります。

認証には

  • 匿名埋め込み(ログイン不要)
  • 認証済みユーザー埋め込み(自社の認証と連携)

の2方式があり、後者ではCognitoやSSOとの連携が必要になります。

Amazon QuickとPower BI・Tableauの違い AWSならQuickを選ぶ理由

Amazon QuickPower BITableau
得意な環境AWSデータソースMicrosoft 365・Azure幅広い環境
インフラ管理不要(SaaS)不要(SaaS)サーバー版は必要
価格帯比較的安いMicrosoft契約と連動高め
AWSとの親和性
AI機能Quick Research等で拡充中Copilot統合Einstein統合

データがAWSに集まっていてAWSのサービスと連携する場合はAmazon Quickが最も手軽です。

なお、AWSはPower BiやTableauからAmazon Quickへの移行を自動化するエージェント機能をAWS Transformに追加しており、既存のBIレポートを移行しやすい環境が整いつつあります。

エンジニアのためのAmazon Quick整理 押さえる順番はここから

Amazon Quickのざっくりとした担当領域をあらためてまとめてみました。

  • データソース接続・IAM・VPC設定:エンジニアの担当領域
  • データセットの前処理・計算フィールド定義:データエンジニアとアナリストの共同作業
  • ダッシュボードのデザイン・グラフ選定:主にアナリスト・ビジネス担当
  • アプリへの埋め込み・認証連携:エンジニアの担当領域

BIツールはアナリストや、経営者の領域じゃない?

そんな風に思うかもしれません。
でもAWSでシステムを構築していれば接続設定や埋め込み実装で関わる場面が出てきます。

この記事で、データの流れ(ソース → データセット → ダッシュボード)とSPICEの概念、料金体系をざっくりと理解していただけたのなら嬉しいです。


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