
ログは取ってるけど、結局ちゃんと分析できていない
そんな状況、思い当たる方も多いのではないでしょうか。
AWSを使っているとログの種類はどんどん増えていきますが、
など、使いこなすのが難しいのが現実ですよね。
そんな悩みを解消してくれるのが「CloudWatch Logsパイプライン」です。
そして、2026年8月、Amazon CloudWatch Logsのパイプライン機能に3つの新しいプロセッサが追加されました。
今回はCloudWatch Logsパイプラインの基本から新機能まで、まとめて解説したいと思います。
Amazon CloudWatch Logsとは AWSのログ一元管理サービス
Amazon CloudWatch Logsは、AWSのさまざまなサービスやアプリケーションが出力するログを一か所に集めて管理できるサービスです。
AWSを利用されている方にとっては、すっかりお馴染みのサービスですよね。
などなど、AWSのほぼあらゆるサービスのログをここに送り込むことができます。
ログが集まったら、CloudWatch Logsの検索機能でエラーを探したり、メトリクスに変換してアラートを設定したり、Amazon S3にアーカイブしたりといった活用ができます。
ただし、集めたログをそのまま使うには課題があります。
などです。この課題を解決するのが「パイプライン」です。
CloudWatch Logsパイプラインとは ログを届ける前に加工できる仕組み
CloudWatch Logsパイプラインは、ログデータを宛先(S3・OpenSearch・別のロググループなど)に届ける前に、変換・加工・フィルタリングを行う機能です。
「ETL(Extract, Transform, Load)」のログ版とイメージするとわかりやすいかもしれません。
パイプラインがない場合の課題
パイプラインが登場する前は、ログの加工にLambda関数を自作するケースが多くありました。
といった作業を、開発・テスト・運用する必要がありました。
パイプラインを使うと、こうした処理を「プロセッサ」と呼ばれるビルトイン機能で設定するだけで実現できます。
コードを書かずに、コンソール上の設定だけでログ加工のフローを構築できるようになります。
パイプラインの基本的な流れ
パイプラインは「ソース → プロセッサ(複数可)→ 宛先」という構成になっています。
複数のプロセッサを組み合わせて使えるのが大きなメリットです。
「RDSログを解析 → XMLをJSONに変換 → IPに地理情報を付与 → S3に保存」
といった一連の処理を、1本のパイプラインとして定義できます。
新機能① RDSログパーサーでAuroraの監査・エラーログが構造化データに変わる
1つ目の新プロセッサは「Amazon RDSログパーサー」です。
Amazon RDS(特にAuroraなどのマネージドデータベース)が出力するログは、エンジン固有のフォーマットで書かれています。
例えばMySQLの監査ログやエラーログであれば、テキストの区切り方や日時のフォーマットがMySQLの仕様に従った独自形式です。
このままではOpenSearchやAthenaで検索・集計しにくい状態です。
RDSログパーサーを使うと、こうしたエンジン固有のログ形式を自動的に解析して、
「timestamp」「user」「query」「status」
などの構造化されたフィールドに変換してくれます。
変換後はJSON形式になるので、そのままS3に送ってAthenaで分析したり、OpenSearchでダッシュボードを作ったりできます。
コンプライアンス対応のため、データベースの監査ログを保存・分析する必要がある場合、これまでは自前でパーサーを用意するのが一般的でした。
このプロセッサ1つで、その手間が大幅に省け流ようになります。
新機能② XMLパーサーでWindowsイベントログなどのXML形式データをJSONに変換
2つ目の新プロセッサは「XMLパーサー」です。
Windowsのイベントログは、XML形式で出力されます。
また、一部のエンタープライズアプリケーションは、ログの一部にXML文字列を埋め込んでいることがあります。
こうしたXMLデータはそのままでは検索・集計がしにくく、必要な情報を取り出すのに加工が必要です。
XMLパーサープロセッサを使うと、ログ内のXML形式のデータをJSON形式に変換してくれます。
変換されたJSONは各フィールドが独立して検索できる状態になるため、CloudWatch Logs Insightsでのクエリや、S3 + Athenaでの分析がぐっと楽になります。
例えばWindowsのセキュリティイベントログをAWSに転送している環境では、「ログイン試行・ファイルアクセス・権限変更」などのイベントをXMLパーサーで構造化し、OpenSearchで可視化するといった使い方が考えられるかもしれません。
新機能③ GeoIPエンリッチメントでIPアドレスに都市・国・座標を自動付与
3つ目の新プロセッサは「GeoIPエンリッチメント」です。
アクセスログには送信元のIPアドレスが記録されていますが、IPアドレスだけでは「どの国から来たアクセスか」「どの都市からか」はすぐにはわかりませんよね。
これまでは別途GeoIPデータベースと突き合わせる処理が必要でした。
GeoIPエンリッチメントプロセッサを使うと、ログ内のIPアドレスフィールドに対して都市・国・緯度・経度などの地理情報を自動で付与してくれます。
パイプラインの中で完結するため、別サービスを呼び出す必要がありません。
これはセキュリティ分析で特に役立ちます。
不審なIPアドレスへのアクセスが発生した場合、地理情報がログに含まれていれば「普段と異なる国からのアクセス」をすぐに検出可能。
また、地域別のアクセス分布をダッシュボードで可視化する際にも、このフィールドをそのまま使えます。
3つの新プロセッサで変わるログ活用 組み合わせて使うことで効果が出る
3つのプロセッサはそれぞれ単独でも役立ちますが、組み合わせることでより大きな効果を発揮します。
たとえばこんなパイプライン。
3つの新プロセッサはすべてCloudWatch Logsパイプラインが提供されている全リージョンで使用可能です。
また、プロセッサ自体の追加料金はありません(CloudWatch Logsのデータ取り込み・保存料金は別途かかります)。
「ログは貯めているけど分析に活かせていない」という状況を変えるための足がかりとして、まずパイプラインの設定を一度試してみてはいかがでしょうか?
