AzureのApp Serviceを使ったことはありますか?とても便利なサービスなのに、関連サービスに似たような言葉が多くて初めは「????」となりがち。かくいう私も腹落ちするまで、「わからーーーーーん!!!」と暴れまくっていたものです。
特に、App Service Plan と App Service。同じじゃないの?と思いませんか?実はこの子たち、それぞれ役割が違うんです。
今回は、App Service使ってWEBアプリケーション動かしておいて、と突然言われたAzure 初心者のために分かりやすくApp Service Plan と App Service の違いについて解説していきます。
Azure App Service Plan とは?
App Service Plan は、WEBアプリケーションを実行するための「コンピューティングリソース」を定義するものです。誤解を恐れずに言えば、仮想マシンと同じ役割をになっています。プランと名前がついている通り、動作するサーバーのスペックや数をApp Service Planで設定します。
App Service Planの主な特徴
- リソースの共有
1つのApp Service Planの中で複数の App Service を動かすことができます。 - スケーラビリティ
負荷対策やコスト対策に応じて、簡単にスケールアップ・ダウンが可能です。 - コスト最適化
1つのApp Service Planで複数のアプリ動かすことができますので、コストを抑えることができます。 - LinuxとWindowsが選択可能
App Service Planには、LinuxとWindowsがあります。使えると思っていた機能が、実はWindowsでしか使えなかった!ということは結構ありますので、選択する際には注意してください。
App Service Planのユースケース
- 複数の小規模アプリケーション
複数のマイクロアプリを動作させたい場合。 - 大規模なアプリケーション
コストは上がりますが、高性能なプランを選択することで、大規模なアプリケーションにも対応可能です。 - 開発やテスト環境
低コストのプランを選択することで、開発やテスト用アプリにも最適です。
App Service Planのコスト
App Service Plan には3つの価格レベルがあります。そのため、選択するプランによってコストは変わります。
カテゴリ | 課金体系 | プラン | 用途 |
共有コンピューティング | 各アプリの CPU クォータに対して課金 | Free | 開発・テスト・お試しで使う場合など |
Shared | |||
専用コンピューティング | App Service プラン内の 各 VM インスタンスに対して課金 | Basic | 本番環境 基本はこのプランを利用 |
Standard | |||
Premium | |||
Premium V2 | |||
Premium V3 | |||
Isolated | worker ごとに課金 App Service Environment 自体を実行するための定額のスタンプ料金 | Isolated | セキュリティ要件が厳しい場合など |
Isolated V2 |
例えば、東日本リージョンの Standard S1プランを選択した場合は、約0.10 USD/時間(約7,200円/月)程度です。ただし、実際の料金は使用状況や選択するオプションによって変動しますので、公式料金計算ツールで必ず確認してくださいね。
App Service Plan の選び方
App Service Plan は非常に種類が多く、何を選んでよいか迷ってしまいますよね。簡単に選ぶ際のポイントまとめてみました。
- トラフィック量
予想されるトラフィック量に基づいて適切なプランを選択 - スケーラビリティ要件
自動スケーリングが必要な場合は FreeやSharedは使えません。Standard 以上のプランを検討しましょう。 - 予算
コストとパフォーマンスのバランスを考慮してプランを選択 - セキュリティ要件
高度なセキュリティ要件が必要な場合は、Isolatedプランが最適です - 開発段階
開発/テスト環境ではFreeプランやSharedプランがオススメです。
App Service Planの設定方法
- Azure ポータルにログインし、「リソースの作成」 > 「Web」 > 「App Service Plan」を選択
- 必要な情報(サブスクリプション、リソースグループ、プラン名など)を入力
- 価格帯を選択
- 「確認および作成」をクリックして作成完了です!

Azure App Service とは?
続いてApp Serviceです。
App Serviceが仮想マシンのような役割を果たすのに対し、App Serviceはいわゆるコンテナサービスです。作成したApp Service Planに上で動作させることができます。
Web アプリ、API アプリ、モバイルアプリ、関数アプリなど、様々な種類のアプリケーションで利用が可能です。
App Serviceの主な種類
App Serviceにはいくつか種類があります。用途は名前の通りですね。Web AppsとApp Serviceが完全に別物だと思って迷路に嵌まり込んだのは私だけじゃないはず・・・
上記の中には、App Service Plan以外でも動作可能なものがありますので、用途に合わせて選んでくださいね。
App Serviceのコスト
App Service 自体には原則追加コストはかかりません。各App Serviceが動作するApp Service Plan に基づいて課金されます。
ただし、一部の追加機能(カスタムドメイン、SSL証明書など)には追加料金が発生しますので、利用前に確認するのを忘れないようにしてください。
App Serviceの設定方法
- Azure ポータルにログインし、「リソースの作成」 > 「Web」 > 希望する App Service タイプを選択
- 必要な情報を入力
- App Service Plan を選択または新規作成
- 「確認および作成」をクリックして作成完了です!
App Service Plan と App Service の関係性とは?
改めてApp Service Plan と App Service の関係性を見ていきましょう。
仮想マシンとコンテナのようなものと解説しましたが、日常生活に落とし込んで表すとすれば「アパート」と「その部屋」でしょうか。
- App Service Plan が「アパート」
- App Service が「部屋」
1つのアパートの中に、複数の部屋がありますね。1つの部屋を小さくすれば部屋数も多くなります。App Service Planもこのような仕様により、リソースを効率的に使用することでコストを抑えることができるのです。
まとめ
Azure の App Service Plan と App Service の違いは理解できたでしょうか?
- App Service Plan: リソースを定義して、App Service が動作する環境を提供
- App Service: App Service Planの上でアプリケーションを実行しサービスを提供
App Serviceを使うことで、スケーラブルで費用対効果の高いクラウド環境を構築することができるでしょう。
初めは複雑に感じるかもしれませんが、実際に使ってみると非常に便利なサービスです。Freeプランもありますので、実際に試していただくのも良いですね。WEBサービスインフラの選択肢の一つとして、Azure App Service を含めてみてくださいね。
