IAM(Identity and Access Management)はAWSに絶対に欠かせない機能の一つですね。ただ、設定可能な権限がとにかく多く、管理も複雑で「結局どの権限を付与すればいいのか分からん・・・あー、もうフルアクセスつけちゃえっ!」と暴走したくなることはありませんか?
そんな時に力になってくれるのが AWS IAM 許可境界ポリシー(Permissions Boundary) です。最大の特徴はユーザーやロールに対して「最大限の権限」を制限できること。そのため、想定した以上の過剰な権限付与を防ぎつつ、柔軟な権限管理が可能になります。
今回はこの許可境界ポリシーについて、分かりやすく解説していきたいと思います。なんでもadmin権限生活(?)から抜け出しましょう!
AWS IAM 許可境界ポリシーとは?
AWS IAM 許可境界ポリシーとは、IAMユーザーやロールに対して「アクセス許可の上限」の設定を定義するポリシーになります。通常のIAMポリシーだけでは、「意図しない過剰な権限付与」という危険がありますが、許可境界ポリシーを活用することで、こんな問題を防止することができます。
AWS IAM 許可境界ポリシーの仕組み
通常のIAMポリシーとの違いはなんでしょうか?簡単に比較すると以下のようになります。
- 通常のIAMポリシー
ユーザーやロールに対して「できること」を許可するポリシーを定義 - 許可境界ポリシー
ユーザーやロールに対して「権限の上限」を設定するポリシーを定義
これらのポリシーは組み合わせて使うことになりますので、「通常のIAMポリシーで許可されている内容」かつ「許可境界ポリシーで許可されている内容」で交差している部分だけが実行可能になります。
主な特徴
- 権限の上限設定
ユーザーやロールに持たせたい最大の権限を設定 - 柔軟性と安全性
必要最低限の権限だけを付与することで柔軟な運用ができる - 誤った権限付与を防止
IAM操作を行う際の安全性を確保。
AWS IAM 許可境界ポリシーのユースケース
許可境界ポリシーは、以下のような場面で特に役立ちます。
Developer(開発者)への権限委任
DeveloperにIAMロールやユーザー作成などの管理操作を許可することは良くありますよね。この場合、必要以上に強い権限を持つロールやユーザーが作成されてしまうリスクは常に付き纏います。許可境界ポリシーを活用することで、「開発者が作成できるロールやユーザーは、この範囲内」という制約を設け、リスクを最小限に抑えることができます。
マルチアカウント環境での統制
AWS Organizations を使用して複数アカウントを管理している場合、各アカウントで一貫したセキュリティ基準を適用する必要があります。許可境界ポリシーを利用することで、全アカウントで統一された「最大権限」の設定ができます。
最小権限の原則を可能に
AWSはもちろんのこと、一般的に「最小権限の原則」が推奨されていますね。これは、「必要最低限」の操作だけを許可するという考え方です。まさに「必要最低限」が設定可能な許可境界ポリシーは、この原則を実現するために非常に有効な手段でしょう。
AWS IAM 許可境界ポリシーのコスト
許可境界ポリシー自体に追加コストはかかりません。ちょっと試したい場合やもちろん、日々のランニングコストもかからず、費用面でもありがたい機能ですね!
AWS IAM 許可境界ポリシーの設定方法
許可境界ポリシーは簡単に設定することはできます。JSONを書く必要がありますが、書式は決まっているのでそれほど苦労することはないでしょう。
1. 許可境界として利用するポリシーの作成
- AWS マネジメントコンソールから「IAM」サービスに移動
- [ポリシーの作成]をクリックし、最大限与えたい権限のポリシーを作成
- ポリシーエディターを「JSON」に切り替える
2. ユーザまたはロールへの許可境界ポリシーの適用
- ポリシーを設定したいユーザまたはロールを選択
- 「許可」タブの中の「許可の境界を設定」を選択
- 先ほど作成したポリシーを選択して適用
以上で設定完了です!即反映されますので、ポリシー選択を間違えないように注意してくださいね。
AWS IAM 許可境界ポリシーのポイント
- 通常のIAMポリシーと組み合わせが必要
- 許可境界ポリシーだけの設定はできません。通常のIAMポリシーも必要です。
- 誤った設定によるアクセス制御
- 許可境界で過度に厳しい制約を設けると、本来必要な操作もできなくなります。私も深く考えずに設定して、Admin権限を持っているのにも関わらず何も操作できなくなったことがあります・・・あの時は泣いた・・・
まとめ
AWS IAM 許可境界ポリシーは、追加コストなしで導入可能な強力な権限設定の強い味方です。ついつい強い権限を与えがちなIAM設定の新たな選択肢となるでしょう。
本機能の適切な活用により、セキュリティリスクの軽減と運用効率の向上を同時に実現し、さらなる安全で管理しやすいクラウド環境の構築が可能となります。セキュリティ要件と運用方針に基づき、AWS IAM 許可境界ポリシーの導入を検討してみてくださいね。
ただし、くれぐれも制限しすぎて何もできなくなった、などとならないように・・・

にほんブログ村

AWSランキング