AIエージェントを作ること自体は、以前より格段に簡単になりましたよね。
ところが「作れた」と「業務で使える」の間には、意外と大きな溝があります。
こういった要件が出てくると、自前でコードを書いて制御する部分がどんどん増えていってしまいます。
2026年6月、AWSからその問題に対する一つの解決策が提示されました。
AWS Step Functions に Amazon Bedrock AgentCoreとの統合機能が追加され、AIエージェントの呼び出しをワークフローの1ステップとして組み込めるようになったんです。
簡単にまとめると、「AIが判断する」という部分と「その後の処理を動かす」という部分を、一つの流れとして管理できる環境が整ったということです。
キーワードまとめ
まずは簡単に用語をざっくり整理しておきましょう。
Step Functions AgentCore統合で何ができるようになるか
今回の機能を一言で言うと、「AIエージェントをワークフローのステップの一つとして扱えるようになった」ということです。
これがどういう意味を持つのか、個別の機能を見ながら整理していきましょう。
複数のエージェントを並列・順序で実行できる
Step Functionsは元々、処理を並列に走らせることが得意なサービスです。
今回の統合により、
そんな構成が、設定ベースで組めるようになりました。
たとえば
- エージェントAが契約書を読んで分類
- その結果をエージェントBが要約
- 最後にエージェントCがリスク評価を行う
といった連携処理を、コードをほとんど書かずに実現できます。
それぞれのステップが失敗した場合の再試行や代替処理も、Step Functionsの仕組みの中で設定が可能です。
重要な処理の前に人間の確認を挟める
Step Functionsには「人間の承認を待つ」ステップをワークフローに組み込む機能があります。
この機能により、AIエージェントが判断や要約を行った後、すぐに次の自動処理に進むのではなく、担当者が内容を確認してから進める、という運用が可能です。
これらを同じフローの中に混在させられるのは、実務的に大きな意味がありますよね。
AIへの信頼度や業務上のリスクに応じて、どこに人間を入れるかを柔軟に設計できます。
エージェントの動作をCloudWatchで追跡・監査できる
エージェントへの
が、Amazon CloudWatchに自動で記録されます。
を後から確認できるようになるため、運用管理や問題の原因調査がしやすくなりますよね。
AIを業務で使う上では、動作の透明性と記録が必要不可欠ですが、それがインフラ側で自動的に提供される点は実用上のメリットが大きいですね。
呼び出しごとにモデルやプロンプトを切り替えられる
エージェントを呼び出す際に、使用するモデル・システムプロンプト・ツールをその都度上書きすることができます。
同じワークフローを走らせる場合でも、
そんな柔軟な対応が可能です。
一つのワークフロー定義で複数のパターンに対応できるため、管理するフローの数を増やさずに済みますね。
セッションIDでエージェントの文脈を複数実行にわたって保持できる
セッションIDを指定することで、エージェントが前回の実行時の文脈(コンテキスト)を持ち越した状態で処理を再開できます。
複数回のやり取りが必要な処理でも、毎回ゼロから始め直す必要がなくなるのはありがたいですね。
たとえば、長い書類を複数のステップに分けて処理させる場合や、途中で中断した処理を再開する場合に使えそうです。
具体的にどんな業務フローに使えるか
実際の活用シーンをいくつか考えてみましょう。
非構造化データの自動処理
PDFや手書きフォーム、メール本文など、決まった形式に入っていない「非構造化データ」から必要な情報を取り出す処理に使えそうです。
そんな一連の流れをワークフローとして自動化できそうです。
これまでは人手で行っていたデータ入力作業の代替として活用できそうです。
大量ドキュメントの分類と振り分け
毎日大量に届く書類や問い合わせを、]
そんなワークフローにも活用できそうです。
Map ステートを使えば複数の書類を並列に処理することもできるため、処理速度の面でも効率化が見込めますね。
AIの判断に人間の承認を組み合わせた審査フロー
そういった業務フローにも活用できそうです。
すべてをAIに任せるのではなく、最終判断は人間が行うという設計を、ワークフローの中に自然に組み込めます。
重要度や金額に応じて承認フローを分岐させることも可能です。
利用できるリージョンと料金の考え方
現時点でAgentCore統合が利用できるリージョンは、
- 米国東部(バージニア北部)
- 米国西部(オレゴン)
- ヨーロッパ(フランクフルト)
- アジアパシフィック(シドニー)
の4リージョンです。
ご覧の通り東京リージョンはまだ対応していないため、日本国内でレイテンシを気にする用途には現時点では厳しいかもしれません。
料金については、Step Functions自体の通常料金が適用されるようです。
AgentCore統合を利用することによる追加料金は発生しませんが、モデルの推論にかかる費用とAgentCoreのリソース利用料は別途発生するので注意しましょう。
コスト管理の観点では、CloudWatchに記録されるトークン使用量を定期的に確認する運用が必要でしょう。
まとめ:AIを「動かす」から「業務フローで使い続ける」へ
今回のStep Functions AgentCore統合が解決しようとしているのは、「AIエージェントを作ること」ではなく、「AIエージェントを実際の業務の流れの中で継続的に動かし続けること」という問題です。
といった、実運用に必要な要素が、ワークフローの仕組みの中に最初から組み込まれています。
AIエージェント自体の能力は年々上がっていますが、それを組織の中で責任を持って運用するための仕組みが追いついていない、という状況はまだ多くの現場で起きていますのが現状ではないでしょうか。
Step FunctionsとAgentCoreの組み合わせは、その課題に対する現実的なアプローチの一つとして、検討に値するサービスです。
東京リージョン対応が待たれますね。

