パスワードやAPIキーなどのシークレット情報を管理してくれるサービス、それがAWS Secrets Managerです。
確実に管理が必要な上、サービスが増えるとともに数も比例して増え、管理に苦労されている方も多いのではないでしょうか。
今回は、そんな大変な管理を引き受けてくれる頼もしいAWS Secrets Managerの魅力を、分かりやすく解説していきます。
AWS Secrets Managerとは
AWS Secrets Managerは、パスワードやAPIキー、データベースの認証情報などの機密情報(シークレット)を安全かつ確実に管理してくれるサービスです。
- 中央集中型の管理
機密情報を一元管理 - 自動ローテーション
定期的に機密情報を自動更新 - 暗号化
KMS(Key Management Service)と連携 - アクセス制御
IAMによるきめ細かなアクセス制御
Secrets Managerの活用例
Secrets Managerは、様々な場面で活用できます。
- データベース認証情報の管理
- RDS、Redshift、DocumentDBなどのデータベース接続情報の保管
- 自動ローテーション
- アプリケーションのAPIキー管理
- APIキーを集中管理、定期更新
- CI/CDパイプラインでの機密情報管理
- ビルドやデプロイ時に必要な機密情報を管理
Secrets Managerの始め方
1. Secrets Managerコンソールにアクセス
AWS マネジメントコンソールにログインし、Secrets Managerのコンソールを開きます。
2. 新しいシークレットの作成
- 「新しいシークレットを保存」ボタンをクリックします。
- シークレットのタイプを選択します。
- 詳細情報を入力します。
- 必要に応じて自動ローテーションを設定します。
- シークレット名と、必要であればタグを設定し完了です。
3. シークレットの利用方法
上記で作成したシークレットは、AWS CLIやSDKを使って簡単に取得できます。
また、統合サービスは公式サイトをご参照ください。
4.モニタリングの設定
もちろんモニタリングも可能です。AWS CloudTrailにより、シークレットが作成された日時、ローテーションされたのかなどを確認できます。また、Amazon CloudWatch により、一定期間シークレットが使われない場合や、シークレットが更新されたときに通知を受け取るようにもできます。
Secrets Managerの価格
Secrets Managerの料金体系は、使った分だけ支払うシンプルな設定です。
- シークレットあたり USD 0.40/月
- レプリカシークレットは個別のシークレットとみなされます
- 保存期間が 1 か月未満のシークレットについては、料金は時間数に基づいて計算
- 10,000 件の API コールあたりUSD 0.05
また、無料枠の提供があります。
- 30日間の無料トライアル期間中、最大30個のシークレットを無料で利用可能
- トライアル期間終了後も、毎月1個のシークレットと10,000回のAPIリクエストが無料
例えば、5個のシークレットを管理し、月間20,000回のAPI呼び出しを行う場合
- シークレット料金:$0.40 × 4(1個は無料) = $1.60
- API呼び出し料金:$0.05 × 1(10,000回分、10,000回は無料) = $0.05
- 合計:$1.65/月
かなり使いやすい料金設定ですね。
Secrets Managerを利用するメリット
- セキュリティの強化
- 運用負荷の軽減
個人的にはこちらが一番のメリットに感じます。
運用ストレスの高い機密情報管理やローテーションから解放され、運用負担が軽減されるでしょう。 - コンプライアンス対応の容易化
- アプリケーション開発の効率化
- 機密情報をハードコーディングする必要がないのもメリットが大きいですね。
Secrets Manager利用時に考慮する点
Secrets Managerを利用する際は、以下の点を考慮しましょう。
- IAMポリシーを適切に設定
- 必要最小限のアクセス権限を付与するようにしましょう。
- 定期的なローテーションの実施
- 可能な限り自動ローテーションを設定。
- 監査ログの活用
- CloudTrailと連携し、Secrets Managerの操作ログを確認。
- バックアップと復旧計画の策定
- 重要なシークレットは定期的にバックアップするようにしましょう。
まとめ
AWS Secrets Managerは、機密情報の一元管理、自動ローテーション、アクセス制御など、様々な機能を低コストで利用できる点が大きな魅力です。
セキュリティ強化やコンプライアンス対応に悩む方々にとっては、Secrets Managerを使わない手はないでしょう。